投資術

市場の流れを掴む株式投資術

“割安”の尺度って、信じていいの?

株式投資の世界では「割安」という言葉が良く使われます。特に相場が上昇トレンドから下降トレンドに移り、なかなか反転のキッカケを見つけられないままズルズルと安くなっているときに、投資家も株主も経営者も「こんなに割安なのに、どうして上がらないの?」という、恨みつらみにも似たグチが出てくるようになります。
 私も、20年以上になる株式投資において、「これは絶対に割安。これ以上、下がりようがない!」と思って買った銘柄が一段安になり、何を信じていいのかわからなくなったことが一度や二度ではありません。
 割安なのか、逆に割高なのかを判断する尺度として、株式市場では一般的に3つの指標を使います。PER(株価収益率)、PBR(純資産倍率)、そして配当利回りです。これらの指標による割安判定を本当に信じていいのかどうかを見ていきたいと思います。

 まず、投資尺度として最もポピュラーなPER(株価収益率)です。10年くらい前は20倍というのが平均的水準とされてきましたが、グローバル化のなかで下がり、最近は15〜16倍が普通レベルとなっているようです。下降トレンドが続くと、PER10倍以下の銘柄も多くなり、割安論議が活発化してきます。
 ところが、PERをハジく基になる1株利益は今期予想ベースのものです。相場が下降トレンドにあるというのは、多くの場合、景気悪化が進行しているからです。つまり、いま予想されている1株利益は、景気悪化に伴う業績の下振れにより、下方修正される可能性が極めて高いということです。株価が同じであれば、1株利益が下がると、PERは当然上がります。現在のPERでは確かに割安かもしれない銘柄が、数ヵ月後の業績発表によっては割安ではなくなってくるわけです。

 つぎにPBR(純資産倍率)です。PBR は1倍を超えているのが基本で、1倍を下回ってくると、その会社の解散価値を割り込んだとして、割安銘柄扱いをされます。
PBRは1株当たり純資産の前期実績ベースで計算します。実績ベース、かつ純資産という性格上、PERの基となる1株利益ほどには狂ってきません。しかし、全幅の信頼を置けるかというと、そうでもありません。これまでの私の投資経験から言うと、PBRが0.6倍とか0.7倍に放置されている銘柄は、それだけのマイナス要因を持っていると考えた方がいい場合も多いです。たとえば、つぎの決算発表で大幅な特別損失を計上して、純資産が大きく目減りした会社もありました。

最後に、配当利回りです。配当利回りが2〜3%あれば、現在の低金利からすると、魅力的な割安銘柄となります。しかし、これも条件が2つあります。ひとつは、株価が買ったときより下がらないこと。配当でインカムゲインを得ても、株価が下がってキャピタルロスを出せば、何にもなりません。もうひとつは、現在の配当水準を翌期以降も継続してくれること。景気が悪化しているときは、業績の落ち込みで減配ないしは無配に転落する会社も多いので、注意が必要です。

以上、割安かどうかを判断する投資尺度を見てきましたが、結局のところ、現在の話にしか過ぎないということです。やはり、株式投資の鉄則は「成長株に投資せよ!」ではないでしょうか。